散骨の条例による規制一覧表(簡易版)

現在、日本には散骨を直接規制する法律はありません。法務省が非公式ながら「葬送のための祭祀として節度をもって行えば違法ではない」という見解を示したことから、「節度をもって」行えば散骨が法律に抵触することはない、というのが一般的な考え方となっています。

実際、上記の見解が示された1991年以降、国内で行われる散骨は活発化し、これらに対して何らかの法律が適用されて違法判断がされたという例はこれまでありません。

もっとも、正面から散骨を取り扱う法律が存在しないことで、散骨をめぐるトラブルが生じる例も稀にあります。たとえば、北海道夕張郡長沼町は、町内に散骨場を設置・分譲したNPO法人に対する町民の反発から、散骨を規制する条例を制定したさきがけとなりました。

その後、いくつかの自治体が散骨に関する規制を行う条例を制定しています。それらの多くは、業者が散骨場を設置することなどに対して規制をするものです。特に近時では、海洋観光資源を保護する目的での条例の制定が見られるようになってきました。

そこで、散骨に関して何らかの規制を行っている自治体の条例を一覧にしてみました。この記事は簡易版として一覧を示していますが、他の記事(参照:散骨をする前におさえておくべき法律や条例の知識(2017.12最新 詳細版))で詳細について説明していますので、必要な場合はご参照ください。

散骨に関する条例による規制一覧(2017年12月21日現在)

自治体名・条例リンク 規制の対象となる主体 主な規制内容
長沼町(北海道)

長沼町さわやか環境づくり条例

個人
・散骨場事業者
・墓地以外の場所での散骨を禁止
・違反者への勧告
・散骨場を事業で行った場合の罰則
勧告に従わない場合の罰則
七飯町(北海道)

七飯町の葬法に関する要綱

・散骨場事業者 ・散骨場設置に関する詳細な要件
・散骨場設置に対する町の許否裁量を強力に認める
岩見沢市(北海道)

岩見沢市における散骨の適正化に関する条例

・散骨場事業者
・一部個人
・散骨場設置に関する詳細な要件(施設・隣接自治体との距離など厳格なもの)
・散骨場以外での散骨の禁止
・違反事業者への罰則
・報告・検査拒否者への罰則
諏訪市(長野県)

諏訪市墓地等の経営の許可等に関する条例

諏訪市墓地等の経営の許可等に関する条例施行規則

・散骨場事業者 ・散骨場設置に関する詳細な要件(設置場所から200メートル以内の自治会の同意書など)
秩父市(埼玉県)

秩父市環境保全条例

秩父市環境保全条例施行規則

散骨行為の規制について

個人
・散骨場事業者
・墓地以外の場所での散骨を禁止
・例外的に散骨を市長が認める場合の要件を規定(隣地所有者の同意または隣地境界から100メートル以上離れているなど)
本庄市(埼玉県)

本庄市散骨場の設置等の適正化に関する条例
・散骨場事業者 ・散骨場設置に関する詳細な要件
・市長による使用禁止命令など
湯河原町(神奈川県)

湯河原町散骨場の経営の許可等に関する条例

湯河原町散骨場の経営の許可等に関する条例施行規則

・散骨場事業者 ・散骨場設置に関する詳細な要件( 隣地所有者の同意、住居地域との距離制限など)
御殿場市(静岡県)

御殿場市散骨場の経営の許可等に関する条例

御殿場市散骨場の経営の許可等に関する条例施行規則

・散骨場事業者 ・散骨場設置の詳細な許可基準
・無許可経営への罰則
熱海市(静岡県)

熱海市散骨場の経営の許可等に関する条例

熱海市海洋散骨事業ガイドライン

・散骨場事業者  ・散骨場設置の詳細な許可基準(近隣同意、施設等からの距離制限など)
・市長の禁止命令権限
伊東市(静岡県)

伊東市における海洋散骨に係る指針

・散骨場事業者
・海洋散骨事業者
・散骨場など墓地に類似する施設の設置手続
・条例とは別に海洋散骨に関する指針で市内海岸10キロメートル以内の散骨自粛などを要請
三島市(静岡県)

議第71号 三島市散骨場の経営等の許可等に関する条例案

・散骨場事業者 ・散骨場設置の詳細な許可基準
・改善命令や中止命令の権限
(※ 平成29年12月12日可決)

散骨を行う際はご自身でも散骨場所のある自治体に問い合わせをするようにしていただければと思います。

今後も散骨に関する条例は増加する可能性がある

散骨に関する規制を検討している自治体は他にもあるようですので、今後も条例は増加する可能性があります。農業・漁業や観光業などのあり方は自治体などで異なるため、散骨に対する住民の考え方はさまざまでしょう。したがって、自治体ごとの規制に合理性がないわけではありません。また、墓地や埋葬等の取扱いに関する判断について、国は各自治体に委ねるという姿勢を現在とっています。

いずれにせよ散骨を行う場合は、散骨場所に暮らす人々の反発を買わない方法を慎重に選ぶようにしたいものです。

誰もが安価に選択できる葬送の方法を模索中です。また法律・条例や社会的ルールが向かうべき方向についても日々勉強しています。