川崎市の合葬型墓所が緑ヶ丘霊園に完成。5月に内覧会、7月に利用受付開始。

約1年ほど前に、川崎市初となる合葬墓の整備について記事にしました(参照:川崎市が緑ヶ丘霊園に合葬墓を整備 )が、このほど(2019年4月)この合葬型墓地が完成しました。

川崎市民のニーズに応える合葬墓

近年、少子化などの影響から墓所の承継者がいない人も多く、「墓じまい」を希望する方や、墓所の管理が必要ないなどの理由から、合葬型墓所を選択される方が増えています。 本市においても、市営霊園に関する市民意識調査や利用者意識調査を実施した結果、承継者が不要である合葬型墓所への需要が確認されたことから、平成30年3月に策定した「川崎市営霊園整備計画」に基づき整備に着手し、このたび、緑ヶ丘霊園内に本市初の合葬型墓所が完成しました。

川崎市:川崎市初の合葬型墓所が緑ヶ丘霊園に完成しました

合葬型墓所とは、1つのお墓に多数の遺骨を埋葬する形式の墓所のことで、川崎市の施設は骨壺から遺骨を取り出して埋葬する「直接合葬方式」と呼ばれるものです。

川崎市が実施した市民意識調査では、集約化・立体化された墓所や合葬型墓所を希望する人の割合は79.0%にも達しており、約2万体を埋蔵可能な合葬墓ををつくったことは、市民ニーズに応えるものとして評価すべきものと思います。

緑ヶ丘霊園合葬型墓所の概要

  • 場所 :川崎市緑ヶ丘霊園(川崎市高津区下作延1241)
  • 構造 :鉄筋コンクリート造平屋建
  • 規模 :約2万体埋蔵可能
  • 使用料:7万円/体
  • 管理料:3万円/体(永年分)

地図で見ると、合葬型墓所の所在地は南武線久地駅から徒歩12分程度の場所にあるようですから、アクセスの良さなどからも使用料や管理料などは妥当なのではないかと思います。

緑ヶ丘霊園合葬型墓所の申込受付・抽選等

今後のスケジュールは下記の通りです。

  • 5月以降  市民向け内覧会
  • 7月以降  市営霊園の既存墓所を墓じまいをして、合葬型墓所への改葬を希望する方の利用の受付開始
  • 11月頃 抽選手続開始(一般墓所の募集と同時に、遺骨所持者、生前取得希望者、緑ヶ丘霊堂からの改葬を希望者対象)

市営霊園利用者の改葬希望を優先的に受け付けるようですが、従来型の墓地を希望する人もいる中、既存墓地の有効活用の観点からは納得できるものだと思います。既存のお墓が無縁墓になると、公告などの手続きも必要となり結局税金で墓地の原状回復をして新規募集をかけるなどの過程を経ることにもなりかねないので、自主的な墓じまいを促す効果があることは評価すべきでしょう。

また、生前申込も可能です。お墓がない方や、あっても承継者がいない、承継者に負担をかけたくないなどの想いを持っている人にとっては、ニーズに応えてくれる施設だといえるでしょう。

詳細はこちら→ 川崎市初の合葬型墓所が緑ヶ丘霊園に完成しました(PDF)  :川崎市ホームページ

自治体は合葬墓をどんどん増やすべき

家族や家単位でのお墓が「常識」として扱われているのは、長くても300年、場合によっては100年程度の間のことに過ぎません。そもそも火葬が半数以上となって常識となったのも昭和に入ってからのことです。葬送のあり方は時代とともに変化し、常識も変わっていきます。

少子高齢化・多死社会という回避不能な社会状況が葬送のあり方の変化に強い圧力を与えていることは確かです。しかし、「やむを得ず」ではなく、自ら望んで新たな葬送の形を選択する人が増えていくのであれば、それは歓迎すべきことだと思います。

川崎市の市民意識調査結果は、明確に合葬墓への市民ニーズを示すものでしたが、おそらく全国的にもこのような人々のニーズは強まっているものと考えます。葬送・供養に割り当てることの可能な社会資本が限られている中、合葬墓のようにコストを抑えつつ人々の安心につながるような施設は、これからもどんどん整備されていくべきものだと思います(参照:自治体は合葬墓の整備を推進すべき )。