遺骨をお預かりすることに慣れることはありません

どんな仕事でも繰り返していけば慣れていきます。たとえばご遺骨を粉骨する作業工程を何度も繰り返していると、さまざまな処理工程で注意すべき点などは自ずと身に付いてきます。

しかし、いつまでも経っても慣れないことがあります。それは「大切なご遺骨をお預かりする」ということ自体です。

 

私は特別な宗教観などは持っておりませんが、ご遺骨は単なる「物」だとは思えません。特にご依頼いただいたお客様の想いを考えると、それぞれのご遺骨はかけがえのないものだと感じます。そのため、ご遺骨をお預かりすること自体が特に緊張することなのです。

弊社ではご遺骨をゆうパックでお送りいただき、粉骨後のご遺骨をゆうパックでご返送しています。日本郵便を信用してはいるものの、お客様に送骨キットをお送りしたら、着払伝票の「お問い合わせ番号」で運送状況を常に追跡しています。当方からご遺骨を返送する際も同じです。追跡したからといってどうというわけでもないでしょうが、気になってしまうのです。

また、ご遺骨をお預かりしたら、できる限り早く粉骨作業を行います。もちろん、お待ちいただいているお客様に早くお戻ししたいという気持ちもありますが、できるだけ早く本来あるべき場所にお戻ししたいという気持ちが強いのです。弊社は粉骨をするために一時的にご遺骨をお預かりしていますが、その時間は短ければ短いほど良いと考えています。

お預かり中にご遺骨に何かあっては大変ですから、作業待ちの間は有人施設で保管しています。厳重に施錠していてもご遺骨を長時間放置することはありません。また1日に数回ご遺骨を確認します。

最も良いのは、お預かりしたその日のうちに粉骨作業を完了し、即日返送させていただくことですが、複数のご遺骨をお預かりしていることも多いのでどうしても作業待ちの時間が生じてしまいます。また、ご遺骨の乾燥に長時間要する場合もあります。お墓に埋葬されていたご遺骨は水分を含んでいることも多く、ご遺骨に優しい乾燥工程を考えると、高温過ぎない乾燥を長時間行わなければならないことも多いのです。また、ご自宅で保管されていたご遺骨でも、六価クロム除去処理によってご遺骨が濡れますのでやはり乾燥は必要です。乾燥中はただ待つばかりですが、乾燥機器のある建物にはスタッフが常駐します。

ご遺骨を粉砕する作業自体は短時間で済みますが、その前処理工程に時間を要するので一定期間はご遺骨をお預かりしておくしかないというわけです。

それぞれがご遺族の想いのある大切なご遺骨だと考えると、お預かりしていることの緊張は常にあります。複数のご遺骨をお預かりしていればその数だけ緊張感は募ります。ですから、一刻も早く作業を完了してお客様のお手元に戻したいというのがスタッフの本音でもあるのです。

粉骨作業中も異物を除き、ご遺骨が少しでも散逸しないように気を配ります。特に粉骨をすると非常に細かいパウダー状になりますので一部でも空気中に散逸してしまわないように気を使います。また機材に付着しているパウダーも極小さい機器で残らないようにして集めます。こういった細かいパウダーは重さにして1グラムにも満たないのですが、できる限りお戻ししたいのです。

粉骨作業を完了し、真空パックにして荷造りをする際には、外からの傷に影響を受けないように、また雨などで中身が濡れないようになどに気を付けて厳重に梱包します。荷造りを完了しゆうパックの集荷に出すと一旦安心します。品名に「遺骨」と書いているので郵便局の方が「大切にお預かりします」と言って下さることも多いです(どれだけ意味があるかは別ではあるのですがやはりそういうやり取りがあると安心感はありますね。何度もお願いしているので遺骨だということは最初からわかっているのですが。)。その後「お問い合わせ番号」で何度も確認し、配達完了メールを受け取るといつもほっとします。

何よりも安心するのは、お客様からのアンケートご返送やレビューの書き込みで、「安心した」「満足した」などのお言葉をいただけた時です。お客様がパウダーになったご遺骨を確認して納得していただけたのだな、と思えるとスタッフもとても安心します。また、無事にお手元にご遺骨をお戻しできたということ自体にもとても安心するのです。

粉骨サービスを開始してから時間が経っても、この緊張感は変わりません。今後も変わることはないでしょう。ご遺骨を大切にお預かりし、丁寧に作業し、お手元にお戻しするという基本的なことは変わらず務めたいと思います。

誰もが安価に選択できる葬送の方法を模索中です。また法律・条例や社会的ルールが向かうべき方向についても日々勉強しています。