粉骨をする際に気をつけるべき6つの注意点

弊社では多数のご遺骨をお預かりし粉骨をさせていただいておりますが、作業場注意している点がいくつかあります。粉骨代行業者に依頼せず、ご自身で粉骨したいとお考えの際にも参考にしていただけると思います。

粉骨をする際に注意すべき6つのポイント

注意点1:どれくらい細かくするのかは粉骨の目的によって異なる

粉骨をする目的はさまざまです。遺骨のかさを減らして自宅供養をする場合であれば、かさが減れば良いのである程度細かく砕けば問題ないでしょう。

ただ、散骨をする場合は、一見して遺骨だとわからないぐらいに小さく粉骨する必要があります。結論を言うと、1辺が2ミリメートル以下になるまで小さくしましょう。理由は、法律上違法にならないように散骨をするためということと、遺骨を早く自然にかえすためということの2つがあります。詳細は別記事 ( 散骨時に遺骨を細かく粉骨する必要があるのはなぜなのか。 )をご参照ください。

弊社の粉骨サービスでは、非常に細かいパウダー状になるまで粉骨させていただいております。

注意点2:遺骨は容易に散逸してしまうことに注意する

焼骨は脆く壊れやすいものですので、一見しっかりとお骨の形が残っているようでも、触った際に全体または一部が欠けてしまうことは多くあります。もちろん粉骨をしようというのですから欠けても構わないのですが、欠ける際にどこかに飛んで行ってしまうこともあるので注意が必要です。

また、焼骨の中には既に細かい粉になっている部分もあります(多くは骨壺の底の方に溜まっています)。作業中に焼骨を容器から容器に移し替えるような際に乱暴に扱うと、粉が舞ってご遺骨の一部が空気中に散逸してしまいます。また、風などがある場所だと遠くに飛ばされてしまいます。

さらに、粉骨を完了した後には全部が粉になっていますので、容器をひっくり返したり、風の吹いている場所に放置していたりすると遺骨の一部が失われる可能性もあります。

散骨等をする前には、ご遺骨は一部でも失わないようにしたいものですから、散逸しやすいものだという認識をしっかりともって取り扱いましょう。

弊社の粉骨作業においても、お預かりしたご遺骨が一部でも散逸することのないように、厳重に取り扱っております。作業に使用する機器などにわずかでもご遺骨を残さないようにするなど十分な注意を払って作業を進めています。

注意点3:保管状態に応じて適切に前処理をする

異物を除去する

焼骨にはご遺骨以外の異物が入っていることが多くあります。良くある異物は、棺に使われていたタッカー針や釘などで、次に多いのは歯科治療で使われたセラミックなどです。ご遺骨によっては、骨を繋ぐボルトや、血管カテーテル治療の際に留置されたステントなどが入っている場合もあります。

弊社での異物除去は主に目視によって行っています。ご遺骨のすべてを細かくピンセットなどで取り分けながら異物を取り除きます。また、強力な磁石を使用して鉄製の異物を取り除いています。この作業は結構大変なものですので、ご自身で粉骨をされる際はほどほどで良いだろうと思います。大まかに異物を取り除いた後、粉骨をしながら発見した異物を取り除くということで良いのではないでしょうか。

ただ、弊社ではご遺骨を粉にする前に、細かく異物のチェックをしています。

十分に乾燥させてから粉骨する

火葬して間もない焼骨は十分乾燥していますが、保管状態によっては少しずつ室内の湿気などを吸収しています。ましてはお墓の中に一度納骨されていた焼骨は多量の水分を吸収しています。水分を含んでいる焼骨をそのまま粉骨しようとしてもきれいな粉にならないことが多いため、遺骨の粉砕をする前に焼骨を十分に乾燥させておく必要があります。

弊社ではお預かりしたご遺骨を標準作業として一定時間乾燥器で乾燥させています。また、お墓に納骨されていたご遺骨に関しては、オプション乾燥(有料)で十分に乾燥させるようにしています。ただ、ご自身で粉骨する場合、焼骨後間もないご遺骨であれば、十分に乾燥していることが多いのでそれほど神経質になる必要はありません。

カビなどを処理してから粉骨する

また、お墓に納骨されていたご遺骨にはカビなどがついている場合もあります。カビを残したまま粉骨してしまうとご遺骨全体にカビの胞子が広がってしまいます。

カビは水洗いなどではきちんと取れないため、カビのついている箇所についてはバーナーなどを使用して焼き切るのが良いでしょう。バーナーを当てると遺骨の表面は黒くなってしまいますが、後々カビが広がるよりは良いはずです。

弊社でも遺骨の保管状態に応じてカビなどの発生を確認し、表面をバーナーで焼き切るなどの処置を施しています。

六価クロムの処理について

焼骨には六価クロムという有害物質が含まれている場合があります。山などに散骨する際には地下水を汚染することも考えられるため、土壌環境基準以下になるように無害化処理をすべきです。海への散骨の場合でもやはり有害物質を流すことを避けるべきだと思います。ただ、一般の方が六価クロムの無害化処理をすることは難しく現実的ではありません。

六価クロムは常温で気化することはないため、遺骨の取扱いにナーバスになる必要はありません。ただ水に溶けやすいことには注意が必要です。六価クロムの含まれている遺骨を水分に浸すと六価クロムが溶け出し、その水分に触れると害を受ける可能性があるからです。

弊社では、土壌環境基準を上回る六価クロムが含まれていないかどうかを検査し、検出された場合には液剤により無害化処理を行っています。これらは標準作業として行っているものです。本当は、すべてのご遺骨に液剤をかけることにすれば検査の手間や経費を省けるのですが、処理の不要なご遺骨にまで無用な液剤を噴霧することは避けたいという想いから、1つ1つのご遺骨を検査することにしております。

注意点4:遺骨を触る際にケガをしないように注意する

焼骨の中には鋭く尖った部分もあります。脆くなっているとはいえ、尖った部分に不用意に触ると怪我をしてしまう可能性があるので注意しましょう。また、六価クロムの無害化処理をしていないような場合は、手汗などで六価クロムが溶け出す可能性もゼロではありません。したがって、遺骨を触る際は手袋などをして直接触らないようにした方が良いでしょう。

とはいえ、故人への愛しさから直接触りたいという場合もあるでしょうし、それまでを否定するものではありません。ただ、その場合も手を傷つけないように注意をしてください。

注意点5:粉になった遺骨を吸い込まないようにする

乾燥したご遺骨を粉にすると、ちょっと息をかけただけで舞ってしまうぐらいになります。ご自分で手作業による粉骨をされた場合であっても必ず細かい粒子になっている部分が生じます。これらはわずかなことで空気中に漂ってしまうので、注意していないと吸い込んでしまう可能性があります。

粉塵を吸い込むこと自体、身体に良いことではありませんし、六価クロムの無害化処理がされていない場合には極力体内に取り込まないようにしましょう。

ちなみに弊社スタッフが作業する際には、粉塵マスクおよびゴーグルを着用しています。

注意点6:粉骨したらできるだけ早く真空パックなどに保管する

粉になった遺骨は粉骨前に比べて水分を吸収しやすくなります。水分を吸い、空気中にただようカビなどの胞子がつくと、カビが発生してしまう可能性もあります。したがって、粉にした遺骨はできるだけ密閉容器や真空パックなどをするようにしましょう。また、真空パックでない保管方法の場合は、乾燥剤を一緒に入れておくと良いでしょう。

弊社では、粉骨後のご遺骨をすぐにUV滅菌処理をした上で真空パックしています。

まとめ

ご遺骨は個人のお身体の一部ですから大切に扱いたいものです。一部が散逸することのないよう作業環境を整えて慎重に扱うことが大切です。また綺麗な粉にするためには何よりも乾燥させることが大切です。適切な前処理を行い、慎重な作業をすることで、大切なご遺骨をそのままきれいなパウダーにすることができます。