遺骨の粉骨・散骨と宗教

ご遺骨をどのように取り扱うのかは、故人の遺志や残されたご家族の考え方によって決まります。ただ、故人のお気持ちが把握できていない場合や、ご家族に迷いがある場合もあるでしょう。それでは各宗教においては遺骨の取扱いについてどのように定めているのでしょうか。私の知る限り、ほとんどの宗教・宗派においては遺体の取扱いについての慣わしがありますが、それらは必ずしも教義に基づく厳格なものではないようです。

たくさんの墓が並ぶ墓地の写真

仏教と遺骨

仏教では仏舎利(仏陀の遺骨)が祀られたことに習って遺骨を供養する慣わしがあると言われていますが、仏陀の教え自体に遺骨の取扱いについての定めがあったわけではないようです。現在各宗派によって葬祭や供養の仕方が決まっていたり、地域の慣習があったりするので多くの方は周囲を見習って焼骨をお墓に納骨したりしているというのが現実でしょう。そもそも現在仏教で寺院が主体となって行う葬祭供養の形式は、江戸幕府の行った宗教統制制政策として檀家制度が広まったことに由来しています。石造りの墓に納骨し、年間を通してさまざまな法要を行うというのも、檀家制度の下で寺院の権限が強化されてから広まったものであり、宗教教義とは直接関係ないものと考えられます。

キリスト教と土葬・火葬

キリスト教ではもともと土葬が多かったものの最近では火葬も多く行われています。土葬が多かったのは「最後の審判」にそなえるためだと説明されることも多いのですが定かではありません。実際、カトリックや正教会では土葬、プロテスタントは火葬など言われてきましたが、どの宗派であっても火葬を選ぶ人が多い地区もあります。思うに、宗派や教義による理由よりも、地域の風土などによって形作られてきた慣習による部分が多いのではないでしょうか。

イスラム教は土葬

イスラム教では、死後なるべく早く体を清めて土葬するようにコーランに書かれているため火葬は禁忌です。土からできた人間を土に返し、「最後の審判」の日に肉体を持って復活するためという考えなのですが、経典に書かれていること、厳格に教義を守る傾向があることなどから、現在もイスラム教徒の人々は火葬をご法度と考えているようです(ただし特別な事情がある場合には火葬も許されるという考え方もあります)。日本国内には土葬ができる墓地・霊園はほとんどないため、日本国内で亡くなったイスラム教徒の方のご遺族は墓探しに苦労されています。

遺体や遺骨の取扱いは必ずしも教義で限定されているわけではない

世界中で遺体の取扱いについてはさまざまな方法が採られています。しかし、イスラム教のように教義で土葬に限定されている場合を除き、火葬か土葬かは教義上の問題ではなく、その地域の気候や風土、歴史や慣習などによって大きく左右されているようにみえます。

日本では火葬をしてお墓に納骨するという考え方が一般的ですが、それが必ずしも宗教的な意味合いを持っているとは限りません。もちろん、信仰する宗教がある場合は宗教家に尋ねればアドバイスを頂けるでしょう。また故人に明確な意思があった場合にはそれに従うのが最も良い方法だろうと思います。ただご遺族が判断をされる場合、「当たり前」と思い込んでいた遺骨の取扱いに特に宗教上の根拠はない場合も多々あるということは知っておくと良いでしょう(たとえば日本では古くから散骨は行われていたという記録があります。参照:散骨の歴史 ~かつて日本では散骨は珍しくなかった~)。

私見では、まず「故人の遺志に従う」、それが明らかでない場合には「自分のしたいようにする」というのが最も良い方法ではないかなと思います。

弊社は一切の宗教と関りがなく、粉骨作業などの際にも宗教的儀式は行っておりませんので、どのような宗教・宗派の方も、また無宗教・無信仰の方もご利用いただけます。

 

誰もが安価に選択できる葬送の方法を模索中です。また法律・条例や社会的ルールが向かうべき方向についても日々勉強しています。