粉骨の方法(散骨準備・焼骨のかさを減らして自宅供養する)

ご遺骨をご自分で散骨したいと考えている方の中には、ご自分でご遺骨を粉骨して散骨に適したパウダー状にしたいと考えている方もいるでしょう。また、ご自宅での供養を続ける方の中にも骨壺・骨箱に入ったご遺骨のかさを減らして、安置しやすくしたいと考えている方もいます。

そこで、ご自身で粉骨をする方法について説明します(後日、粉骨をする際の注意点について詳しく書きましたので、そちらもご参照ください。「粉骨をする際に気をつけるべき6つの注意点」)

粉骨後の様子(ダミー)の写真です

これは遺骨の実物ではありません。粉骨後の遺骨に似たダミーです。実際のご遺骨はより白色に近いものが多いですが、ケースバイケースです。

ご遺骨に粉骨させて頂くことを伝える

ご遺骨の状態を変化させるので、作業者の気持ちとしてご遺骨に粉骨させていただくことをお伝えします。特定の宗教や宗派に属している場合は、その宗旨にしたがった方法で礼拝を行うと良いでしょう。

ちなみに、弊社は特定の宗教・宗派に属しておりませんので粉骨前に宗教的な儀式を行うことはありませんが、作業前に作業者がご遺骨に一礼をして粉骨させていただく旨をお伝えしています。

粉骨作業にあたっての注意

焼骨には六価クロムという有害物質が含まれている場合があります。この六価クロムの多くは火葬上で使用されている柩を載せるステンレス製の架台に由来しています。六価クロムは皮膚に付着すると炎症を起こしたり、吸い込むと癌の原因になることもあります。常温で気化することはありませんが、ご遺骨の粉末を吸い込まないように十分注意しましょう。また、六価クロムは水に溶けやすいため焼骨を濡らすと付着しやすくなります。

弊社の粉骨作業工程では、ご遺骨に六価クロムが含まれていないかについて検査試薬で確認を行い、含まれている場合には標準で六価クロムの無害化処理を行っていますが、一般の方がそこまで行う必要はないでしょう。ただし、有害物質が含まれている可能性があることは知っておき、無暗に吸い込んだりすることのないように注意することが必要です。ご遺骨を有害物質扱いすることに心理的な抵抗を感じる方もおられるでしょうが、ご遺骨によってご遺族が健康を損なうことを故人が望むことはないでしょう。

ご遺骨内の異物の確認・除去

焼骨の中には、副葬品や歯の部品、棺桶に使われていた金属などが混入しています。時には、宝石や貴金属などが混じっていることもあります。焼骨をトレイなどの上に出してから丁寧に目視で異物を取り除きます。鉄製の異物であれば磁石を使うと簡単に集めることができるでしょう。

目標は2ミリメートル以下の粉にすること

異物を取り除いたら粉骨にとりかかります。自宅供養でかさを減らすことが目的であれば、どの程度まで細かい粉にするのかに決まりはありませんが、散骨が目的の場合は目安があります。それはご遺骨の1辺が2ミリメートル以下になるまで粉砕するというものです。これは、散骨が法律との関係で違法とならない、または違法だと誤認されないようにするために必要となります。大きな骨の欠片が残っていると、遺骨を遺棄していると勘違いされる可能性があるのです。1辺2ミリメートル以下という目安は、別に法律的に決まっているものではありません。散骨業者などが自主的に守っているガイドライン的な基準です。この程度まで細かくすれば散骨でトラブルになることはないでしょう。詳しくは、別記事「散骨時に遺骨を細かく粉骨する必要があるのはなぜなのか。」をご覧ください。

乾燥していないと粉状になりにくい

火葬場の設備内は非常に高温ですので、火葬した直後の焼骨は乾燥しています。ただ、保管状態によっては水分を含んでいる場合もあります。特にお墓に埋葬していたご遺骨は、骨壺に入っていたとしても土中の水分を含んでいたり、雨水が入り込んだりしていることがあります。骨壺から出して納骨されていたものであればなおさらです。

このように水分を含んだご遺骨は粉状にしにくく、作業の過程でベトベトの状態になってしまうこともあります。そこで、粉にする作業を行う前にご遺骨を天日干しするなどして乾燥させましょう。含んでいる水分量によりますが、湿気を感じるような状態であれば夏場でも天気の良い日に1週間ぐらい干した方が良いでしょう。その際は、急な雨で濡れてしまったり、風に飛ばされたりしないように十分な対策をしておきます。

天日干しでは十分に乾燥できないこともあります。したがって、粉にする作業を行っている際に水分を感じるようであれば改めて乾燥させる時間を設けるようにしましょう。

弊社でも、お預かりしたご遺骨は必ず専用の乾燥機で時間をかけて乾燥させています。

すり鉢・すりこぎ棒・ざる・金槌を使用する

焼骨は非常に脆く掴んだだけで粉のようになる部分もあれば硬い部分もあります。サイズの大きい硬い部分については金槌で細かくする必要がある場合もあるでしょう。その場合は割れたご遺骨を飛び散らないように袋などに入れ、その上からタオルを巻くなどしてから金槌を使うようにしましょう。ある程度小さくなった焼骨はすり鉢とすりこぎ棒で細かくします。

すり鉢よりも乳鉢の方が作業に向いているのですが、一般に出回っている乳鉢は非常に小さく作業になりません。かといって大きな乳鉢は購入すると数万円もします。サイズが大きく購入しやすい道具という点ですり鉢が候補になるでしょう。

粉骨に使うすり鉢とすりこぎ棒の写真 ただし、一人で作業する場合にはすり鉢が動きやすいのが難点です。足の間に挟んで作業するのが普通ですが、足が痛くなることもあるでしょう。また、すりこぎ棒を力を入れて長い間使っていると手にマメができてしまうこともあります。軍手をするなどの対策が必要です。

ある程度細かくなったら、2ミリ程度の目になっているざるを使って、粉砕しきれていないご遺骨を分別します。トレイなどの上にざるを置いて、すり鉢内のご遺骨をざるに移し、ふるいにかける要領でざるをふるいます。2ミリ以下に粉砕できたご遺骨はトレイに落ち、粉砕しきれていないご遺骨はざるに残るので再びすり鉢に戻して作業します。粉骨に使うざるの写真これを根気強く繰り返していけば、ご遺骨を2ミリメートル以下の粉状にすることも可能です。ただし、作業には相当な根気が必要です。覚悟をもって作業にあたらないと途中で挫折してしまいかねません。また、すり鉢の目にご遺骨が詰まると作業が進まなくなりますので、適宜、針金や千枚通しのような先の尖ったもので詰まったご遺骨を取り除く必要もあります。

細かいほど自然に還りやすい

手作業で粉骨を行うのには相当な根気が必要ですが、散骨の準備として粉骨をするならできるだけ細かい粒になるまで粉骨する方が良いでしょう。故人が散骨を希望されている多くの場合には、自然に還りたいというご希望があります。粒子が細かくなればなるほど、ご遺骨を早く自然に還すことができるのです。そう考えれば、ご遺骨をできるだけ細かくしてあげることが供養だと励みになるのではないでしょうか。

とはいえ、入手しやすい道具と手作業でご遺骨をミクロン単位のパウダーにすることは非常に難しいでしょう。粉骨業者がご遺骨をミクロン単位のパウダー状に粉砕できるのは専用の機械を使用しているからです。そのような機械は安くても20万円程度はしますので、普通の方が1度の粉骨のために購入するようなものではありません。

粉骨はご自身ですることも不可能ではありませんが、体力や根気が求められる作業です。もちろん、時間をかけて粉骨してさしあげるのも供養のひとつと考えることもできます。ただ、思いの外大変な作業ですので途中で挫折してしまう可能性もあります。そんな時は粉骨業者に依頼をした方が良いでしょう。

弊社の粉骨サービスは、六価クロムの無害化処理、乾燥を標準で行い、ご遺骨を細かいパウダー状にします。また、UV滅菌処理をした上で真空パックをしてお客様のお手元にお届けしています。粉骨サービスの詳細は、粉骨サービス内容・料金・ご利用方法 をご覧ください。