散骨の費用相場は?業者を利用する場合と自分で行う場合でいくら違うのか?

散骨を行う場合に必要となる費用は、選択する方法によって大きく異なります。いくらお金がかかっても良いという人を除いて、事前に費用について知っておいた方が良いでしょう。そこで、散骨の方法それぞれについて費用の相場について説明します。

自分で散骨を行う場合の費用

散骨の実施や準備についてすべてご自身で行う場合に必要となる費用の項目は概ね次の通りです。

ご遺骨を粉骨するための費用

散骨をする場合には、準備としてご遺骨の粉骨が必要です。粉骨をしないで焼骨をそのまま撒いてしまうと、遺骨の遺棄と勘違いされる可能性もあり事件化しないとも限りません。そのため、ご遺骨の一片が2ミリメートル以下になるまで粉骨をする必要があります(参照:散骨を自分で行うために必要な準備や手続きはどんなもの? – 2.3.粉骨をする)。

自分で粉骨する場合

粉骨はご自身で行うことも不可能ではありません。焼骨は非常にもろくなっている部分も多く簡単に粉末にできる部分もあります。しかし固い部分は手作業で粉末状にするのには力と時間が必要となります。手作業で行う場合はすり鉢や乳鉢などを使用することになりますが、何時間もかかることは覚悟する必要があるでしょう。またこれらの道具がない場合は購入する必要があります(安いものであれば1万円以内で購入は可能でしょう)。一方、機械的に粉骨する方法もありますが、機械の値段は高いので個人で購入するようなものではありません。

いずれにせよ、どのような形であれ2ミリメートル以下になるまで粉状にすれば良いのですが、ご親族のご遺骨を粉骨することは人によっては心理的に大きな負担となることも考慮しておく必要があります。

粉骨代行業者に依頼する場合

心理的な負担や作業の負担を考えると、粉骨代行業者に依頼するという方法もひとつの手です。粉骨代行業者の多くは、ご遺骨に含まれる異物や貴重品などを取り除き、ご遺骨をきれいなパウダー状にしてくれます。

粉骨代行の料金はさまざまですが、作業内容が丁寧であり、ご遺骨に六価クロムが含まれている場合の無害化処理などまできちんと行ってくれるところであれば、概ね2万円から4万円程度が相場です(骨壺のサイズによって料金が異なるのが通常です)。真空パックでの返却や散骨用の水溶性紙袋が付属するかどうか、保管用の箱が付くかどうかなども業者によって異なりますので事前に確認すると良いでしょう。

弊社でも粉骨サービスを行っており、基本料金は骨壺のサイズに応じて1万5千円から1万8千円としています(参照:粉骨サービス内容・料金・ご利用方法)。

散骨場所までの交通費や宿泊費

散骨場所によってそこまでの交通費がかかります。また、遠方の場合は宿泊費なども必要となるでしょう。

散骨場所の権利者に対する謝礼(他人の権利のある場所に同意の上散骨する場合)

ご自身や故人と関係のある方などの土地に承諾を得て散骨する場合などは、気持ちとして謝礼を準備した方が良いでしょう。もちろん、その方との関係性によりますので一概には言えませんが、やはり散骨させていただくのは一定のご負担をお願いすることですので、できる限りお礼を形にした方が良いと思います。

尚、当然ながら同意がないのに他人の土地に散骨をしてはいけません。

献花などの費用

お花などを添えて散骨する場合にはその費用が必要です。もっとも、あまり多量のお花は、いくら気持ちがこもっていても他人からみると「廃棄物」となってしまいますので、節度をもった量にとどめておくべきです。なお、地上であれ海であれ、自然に還らないものを撒いていはいけません。

尚、ご自身で散骨を行う場合の留意点などは別の記事で説明していますのでご参照ください(参照:散骨を自分で行うために必要な準備や手続きはどんなもの?

業者に依頼して散骨を行う場合の費用

業者に依頼して散骨を行う方法は、大きく分けて海で散骨する方法と山で散骨する場合があります。また、一家族だけで行う場合、複数家族合同で行う場合、立会わずに行う場合などの違いもあります。

海での散骨(海洋散骨)

海で散骨する場合は散骨場所まで船で移動することになります。

ひとつの家族だけでチャーター海洋散骨

クルーザーなどを貸し切り、ご遺族一家族だけで海洋散骨を行う方法です。比較的大手の葬儀会社でも行っている方法ですが、やはり費用は高く25万円から40万円程度が相場です。最も安くても20万円を切るかどうかというラインとなっています。

複数家族乗り合いでの合同海洋散骨

チャーター料金などの負担を抑えるために、複数家族でひとつの船に乗り合い、合同で海洋散骨を行う方法です。もっとも、完全に「割り勘」となるわけではなく、約10万円程度の費用が必要となるのが相場です。

業者に任せる委託海洋散骨

海洋散骨を完全に業者に委託する方法です。多くの場合、散骨代行業者が複数のご遺骨を散骨場所まで運び、代理で散骨を行います。大人数で乗船する必要がないので比較的小規模な船で散骨を実施することができ、費用も安くて済みます。金銭的負担を抑えたい方、故人の希望で海洋散骨したいがご自身は船が苦手な方やご高齢の方には最適な方法です。費用の相場は概ね5万円前後となっています。

弊社でも海洋散骨を代行するサービスを行っています。粉骨などの準備も含め、基本料金は3万3千円としています(参照:海洋散骨代行サービス内容・料金・ご利用方法)。

山での散骨

山での散骨は、近隣住民や土地所有者とのトラブルが生じやすいため、これを行っている業者はあまり多くありません。また、条例などで自己所有の土地であっても散骨自体が禁止されている場所もあります(参照:散骨をする前におさえておくべき法律や条例の知識(2017.12最新))。

一部の業者が自己所有の森林で散骨を代行している場合もあります。費用は約5万円程度です。

参考:樹木葬について

最近注目を集めているものに「樹木葬」と呼ばれるものがあります。樹木の周辺に散骨する場合もありますが、多いのは樹木の根元に埋葬する方法で、これは散骨ではありません。「埋葬」を行う場所は「墓地」である必要がありますので、実質的にはお墓を購入するのと変わりません。もっとも、石造りのお墓を買うのに比べれば安価であるのと同時に、自然回帰のイメージもあるため近時は人気を集めています。

樹木葬の費用相場は、個別の樹木墓地であれば概ね60万円程度です。合同葬の場合であればこれよりも安く済みます。また、公営墓地でも樹木葬を行っているところがあり費用は非常に安価で済みます。たとえば、東京都立の小平霊園では、樹木型合葬埋蔵施設の募集は遺骨一体であれば12万3千円から行っており、自ら粉骨してあれば4万円代で済ませる方法もあります(2017年現在)1。ただし、抽選倍率は例年9~10倍程度で推移しています2

ひとことで散骨といっても方法と費用には大きな違いがある

散骨はルールとマナーを守って行えば、個人でも行うことができる葬送の方法です。ただし、粉骨作業の負担や散骨場所の選定などを考えると、その一部や全部を専門業者に任せるのも方法です。実際、ご自身で粉骨・散骨を行う場合もある程度の費用はかかりますので、十分比較した上で最適な方法を選ぶようにすると良いでしょう。

費用の比較としては、ご自身が立会って散骨をする場合には、業者に依頼する場合とご自分だけで行う場合の費用の差は少なくとも7~8万円、多くて35万円程度の違いがあることになります。

一方、散骨を業者に代行してもらいご自身が立会わない場合には、ご自分だけで行う場合との費用はあまりありません。ご自宅から遠方で散骨を行う場合は散骨代行業者に依頼した方が安価に済む場合も往々にしてあります。立会いが不要、あるいは立会いできない事情があるような場合には、散骨代行業者に依頼するのは経済的な場合が多いといえるでしょう。